学習する中高生が多いだけに苦手としてしまう人も多い化学。
さらには、有機の履修が終わるのが高3の秋や冬という学校も珍しくないです。
自分の学校の進度に不安がある場合の先取り学習の方法も番外編として書いているので参考にしてみてください!
今回はそんな化学の学習法について解説していこうと思います。
ちなみに、ぼくは今から解説する学習法で2次試験本番の化学で8割獲得できました!
化学は勉強法を確実に安定させれば、2次試験で7割を安定して取るのも夢ではないと思っています。
それでは早速化学の学習法を見ていきましょう。
〈この記事の対象者〉
・受験で化学を使う高校生
・化学の点数を今よりも上げたいと思っている中高生
・化学の勉強法に悩んでいる中高生
化学という科目とは
(化学の先生に怒られそうなので、あまり大きな声では言えないですが)、受験に限って言えば、化学は理系科目の中で一番パターン化しやすい科目です。
入試ではパターンで解ける問題が多く出題されます。
だから、以下のような勉強法が非常に効いてきます。
当たり前ですけど、すべての問題がパターンで解けるわけではありません。
その場で考えないといけない問題も出題されます。
対応法は「パターンで無理そうだったら、その場で原理原則から考えて試行錯誤」しかないです。
この類の問題は基本的に難問で解くのに時間がかかります。
では、その時間はどこから捻出するのでしょうか。
ずばり、パターン問題です!
パターン問題を手早く処理することで、難問を考える時間を生み出すのです。
パターン問題を高速処理することが高得点を取るのに必要なわけですね!!
その通り!化学は時間が足りなくなりがちっていう意味でもパターン化は大事になってくるよ!
問題演習に使う問題集について
知識のインプットについては、理論、無機、有機と分野別に解説したいので、順番が逆になりますが問題集について先に紹介します。
化学の問題集は割と王道が決まっているのでそこまで迷う余地はないかなと思います。
おすすめの問題集についてレベル別に紹介していきます。
・使うべき人: 化学初学者、定期試験勉強をしたい高校生
・長所: 基本的な問題が非常に充実している点
・短所: 問題数が多い点
多くの学校で配られる問題集です。
おそらくあなたの学校でも配られているのではないでしょうか?
基本的な問題が豊富に掲載されています。
そのため、初学者や定期試験に対しては非常に良い問題集です。
しかし、一度学習した範囲をもう一度復習のためにこの問題集を解くのは少し非効率的かなと感じます。
問題ごとの重複が大きく冗長になってしまっている部分があるためです。
問題数が多いというのがこれらの問題集の長所でもあり短所にもなりますね。
ただ、以下で紹介する難しめの参考書をする前に軽く公式の使い方を思い出すために問題数を絞って利用するのは大アリだと思います!
・使うべき人: 理系私立または最難関以外の国公立を目指す高校生
化学の苦手な最難関国公立を目指す高校生
・長所: 標準からやや難の問題がバランスよく掲載されている点
・短所: 特にない。あえてあげれば、問題の難易度のバランスが良い分いわゆる難問が少ない点
これぞ化学の王道問題集です!
私立、国立問わず多くの受験生にとって入試問題への架け橋となってくれる問題集です。
難易度はセミナーと同じくらいのレベルから難関大学のレベルまで取り扱われています。
地方国公立の志望者はこの問題集を完璧に解けるように学習すれば、合格点が見えてくるでしょう!
東大などの最難関大学志望者のうち化学が苦手な人はこれを解けるようにすれば、大コケはしないだけの実力はつけられると思います。
あまりこれといった欠点も見つからない良い意味で無難な問題集です。
・使うべき人: 化学の得意な高校生
東大などの最難関国公立を志望する高校生
・長所: 完璧にこなせれば、盤石な土台になる
・短所: 難しい問題も多いので、インプットがあやふやだと1周にかなり時間がかかる
誤植が多い
はっきり言って、名著です。
ぼくペディは基本的にこの問題集を使って化学を勉強していました。
難易度は重要問題集くらいからいわゆる難問まで幅広く載っています。
これを解けるようにすると結構盤石な土台を築けます。
言い換えると、公式を覚えるだけではできないような高いレベルでパターン化を行えるようになります。
ただ、それだけに初見ではアップアップになるような難問もあったりするので、1周するのに結構時間がかかります。 (ぼくは公式もあやふやなままこの問題集を解き始めたため、理論だけでも1周するのに数か月かかった気がします . . . 。)
インプットをしっかりしてから取り組んでほしいなと思います。
あとは、誤植が少し多いというのも欠点ですね(笑)
うん、難しい!ってなる問題が多いです。
時間を持て余した受験生にどうぞ(笑)
ただ、結構良問も多いので、何問か解く目的でするのはアリですね。
問題集の解説はこんなもんですかね。
あなたの今の得意不得意や、目標によって使う問題集を工夫してみてください!
各分野の勉強法
ここから、理論、無機、有機に分けて解説していきます。
ただ、どの分野でも勉強法の大枠は変わりません。
「教科書、参考書を使って原理を理解しながら知識をインプットする」
→「問題を解いて原理を理解しつつパターン化する」
これを頭に入れて、以下を読んで化学の成績を上げていきましょう!
無機
無機は基本的に知識を入れさえすれば、解ける問題が多いです。
入試問題では理論化学の大問で関連する無機の知識を聞かれることが多いですかね。
知識のインプット
無機は知識を入れれば解ける。
裏を返せば知識を入れないといつまでたっても解けません。
どこかで本腰を入れて覚えていくしかないんです。
ただ、多くは系統立てて覚えていくことができるので、単純暗記にならないように整理していきましょう。(もちろん合金の構成金属のように単純に覚えるしかない範囲もありますが . . . 。)
たとえば、沈殿の色に関して、硫化物は基本黒!
例外はZnS-白、CdS-黄、MnS-淡赤色、As2S3-黄!のようにして覚えれば1対1で覚えていくよりも効率よく覚えられます。
無機を覚えるのに困っている人に1つ参考書を紹介します。
これはぼくも先輩におすすめされて買いました。
無機の知識は基本的にこの参考書だけで覚えたと言っても過言ではないくらい使い込んでいました。
問題を解いて知識が抜けてるなと感じたらこの参考書に戻って覚えなおす。
この繰り返しでぼくは無機を勉強していました。
原理に基づいて解説されているので、単純暗記が苦手なぼくでも覚えられました。
特に、系統分析を解くのに必要な「沈殿するイオンしないイオン」をキレイにまとめてくれているので、本当に重宝しましたね。
問題演習
無機の範囲では、問題演習は知識をしっかりインプットできたかどうかのチェックに使いましょう。
極論インプットがしっかりできていれば全問題解けるはずなので、無機では問題演習単体から学ぶことはあまりないです。
テンポよく解き進めていきましょう。
系統分析ははじめは時間がかかるかもしれませんが、何問か解いているうちに慣れてくるので、最初は時間がかかってもしっかりと問題を解くための知識がインプットできていればOKです!
抜けている知識を発見したらその都度教科書や参考書に戻って知識の再定着をしていきましょう!
有機
まず、少し特殊なので高分子から説明しますね。
この範囲は基本的に無機と一緒で暗記しておけば解ける範囲が多いです。
しかも、反応原理は基本的にそれまでに学んだものなので、無機よりも気軽に勉強できると思います。
ただ、油脂と重合に関する(合成高分子etc. )問題に関しては少し計算にコツがいるので、インプットした後問題演習で身につけてみてください。
よし、それでは本題に入ります。
有機の問題は語弊を恐れずにいうと、9割方パターン問題です。
やった!楽勝やないかい!
でも、このように思うのは早計です。
実は、このパターンに慣れるのに結構時間がかかります!
有機は1つの大問から問われることが広範囲にわたっており、非常に混乱しやすいです。
なので、いったん知識を入れたあとそれを全体的に俯瞰できるようになる必要があります。
では、俯瞰できるようになるためにはどのように勉強を進めるべきか解説していきますね。
知識のインプット
結論、最初の知識のインプットは軽めに終わらせて問題演習に入りまたインプットしなおすのが最短です。
問題集の解答を見て「はじめましての単語ばっかり」という状態はさすがにまずいですが、「この単語見たことあるんやけどな~」くらいなら全然OKです!
というのも、世の教科書、参考書はアルコール、エーテルのように単元ごとに並んでいます。
しかし一方で、入試問題の多くはアルコールであることを見抜くことがメインなものが多いです。
なので、いったん知識をあやふやでいいのでインプットしてそこから参考書に戻って暗記しなおす方が、有機全体におけるその反応の位置づけが俯瞰しやすくなるため、非常に効率が良くなると思います。
反応の名前と原理についてなんとなくインプットしたら問題演習に入っていきましょう!
問題演習
おそらく1周目で完璧に解ける人はなかなかいないと思います。
むしろ泣きそうなくらい滅多打ちにされると思います。
ぼくも最初はそうでした(笑)
しかし、思い出してください。
「有機は9割方パターン問題です。」
つまり、大切なことは1回目で解けることではなく、その問題を何回も解いて次見たときに解けるようにすることです。
そうすると、初見の問題に対しても解けるようになってきます。
分からなければ解答解説を読んで、そこから教科書や参考書に戻ってしっかりと記憶を定着させてください。
ヨードホルム反応陽性ってあるけど、ヨードホルム反応ってなんだっけ?
(参考書に戻って) あーヨードホルム反応陽性のときは末端から2番目にヒドロキシ基またはケトン基だ。
上のような作業の繰り返しで有機はだんだんとできるようになっていきます。
最初は分からないことだらけでしんどいですが、そこを乗り越えれば面白いように解けるようになります。
そして、解答スピードもどんどん上がっていきます。
そのときを信じて我慢強く勉強していきましょう。
努力は報われます。
番外編: 学校の進度が遅すぎる!または、有機が不安!と思ったときに読むコラム
自分の高校の進度に満足しており、有機は大丈夫だと感じる人は読み飛ばしてもらって大丈夫です。
「高校の進度が不安!」、または、「有機を独学で始めたい!」という人はぜひぜひ読んでみてください!
大学に入って受験生を指導し始めて特に感じたことが、進度の遅い学校が多すぎる!ということです。
特に化学は範囲も広いためか、履修が終わるのが12月で1か月後に共通テスト!なんて学校もちらほらです。
正直知識の習熟なども考えると高3の夏休みくらいからぼちぼち有機の演習に入っていってほしいと個人的に思っています。
すでに有機をやった人ならわかると思いますが、有機の定着にはかなり時間がかかるからです。
また、秋には大学別模試も実施されますが、有機ができないままその模試を受けても良い判定が出にくいので、受験勉強のモチベーションにも関わってきます。
ということで、進度に不安がある人は先取り学習を勧めています。
ちなみに、ぼくは学校で有機を履修するときにちょうどコロナのパンデミックにより学校自体が休校になってしまったので、有機は独学で学習しました。
しかし、独学でも有機はしっかりとぼくの得点源になってくれました。
ということでぼくペディが実践した有機の独学法を伝授しようと思います。
まず、参考書を買いました。
ただ、それを読んでもあんまりぴんと来なかったんですよね。
「銀鏡反応?ん、臭素水を脱色?(イライラ)」
有機はいろいろな新しい概念がでてくるので、実際混乱しやすい分野だと思います。
そこであれこれ模索しているときに見つけたのが「スタディサプリ」です。(宣伝になってしまいますが、ぼくが受験生のときに本当に救われた教材なので、当時のぼくのように今きつい思いをしている受験生に向けて書かせてください。)
これを受けようと思ったのには明確な決め手があって、「無機で使っていた参考書 (スタンダード化学)の著者である坂田薫先生が授業をしていたこと」です。
これは本当に偶然で、運命だと思って申し込みました。
結論、申し込んで大正解でした。
というよりも、坂田先生の授業を受けていなかったらぼくの有機はどうなっていたことやらと結構恐ろしくもなります。
そのくらい当時有機の勉強で困っていました。
スタディサプリの坂田先生の授業を受けてよかった点をまとめます。
試験でよく問われる点に絞って授業で解説されるので、初学者でも効率よく有機の知識をインプットできます。
参考書にはあれもこれもといろいろな知識が書かれていることが多いので、初めて有機を学習する人や有機が苦手な人にとっては苦痛だと思います。
しかし、スタディサプリでは大事な知識とあまり使わない知識がメリハリをつけて説明されるので、本当にすっと有機の知識が入ってきます。
坂田先生も授業中に「授業で扱う問題を解けるようにすれば、大丈夫。」とおっしゃっています。
それくらい頻出の問題は網羅されています。
ぼくも授業で扱った問題を解けるようにしただけで、入試問題で合格点レベルまで達することができたので、感動しました。
授業で扱った問題を解ければ大体の問題には対応できると言いましたが、その分授業で扱う問題には難しい問題も含まれています。
では、そんな問題は全然分からないのか?そんなことはありません!解説が非常に丁寧なので、難しい問題でも解けるようになります。
参考書では難しい問題の解説は見るだけに嫌になることも多いですが、坂田先生の授業のおかげで最初難しいと思っていた問題でもあれ?そんな難しくないやん!と思えるようになりました。
化学は難関大学になればなるほど制限時間が厳しくなります。
正確に解きかつ素早く処理しなければなりません。
有機の問題 (特に構造決定の問題) で早く処理するためのポイントはどこなのか坂田先生の解き方を見れば学習することができました。
「知ると知らないでは試験の点数で大きく差が出るだろうなあ」と受験生当時感じたのを覚えています。
授業を受けるのはメリットだけではありませんよね。
授業のデメリットは参考書を読むのに比べて時間がかかってしまうということです。
スタディサプリは2倍速まで再生速度を上げることができるので、この機能を使えば効率を各段によくすることができます。
ちなみにぼくは2倍速だと早すぎたので、1.5倍速で聞いてました(笑)
ただ、1.5倍速でも通常の授業に比べて時間を1/3節約できるので、効率よかったと感じています!
あ、お気づきの方も多いかと思いますが、ぼく坂田先生激推しです(笑)
本当に一回体験してほしいです!
ただ、坂田先生抜きにしても、スタディサプリってかなり良い教材だなって思います。
大学受験を終えて改めて各教材、予備校の料金を比較しましたが、破格の安さ (月額2178円) です。
さらに、それさえ払えば全科目の授業受け放題です。
それだけでなく、共通テスト対策講座、大学別対策講座もあり、それも受け放題です。
儲け出てるのか心配になるくらい格安です。
さらになんと今なら最初14日間無料なので、試す価値ありありです。
念のため断っておきますが、これが先取り学習の唯一の答えというわけではありません。
自分で本を読んだ方が早い場合もありますしね。
なので、一回試してみるかどうかはあなた次第です。
ただ、今は14日間無料なので、今のうちに試してみるのが吉!と個人的に思っています。
申し込みも5分もあればできて即動画視聴可能なので、少しでも迷っている人は下の画像をクリックしてみてください。
では、本題に戻りますね。
最後に理論化学の勉強法です!
理論
「理論化学」ここがおそらく多くの高校生の一番の悩みのたねだと思います。
なぜなら、一番考えさせる問題が出題されやすいつまり、パターン化の効かない問題が出題されやすいからです。
そんな理論化学の対策法を見ていきましょう。
知識のインプット
難問の多い理論化学ですが、まずは基本問題を取りきることが大切です。
原理を理解しながら公式を中心にインプットを進めていきましょう。
ここでインプットしきって基本的なパターン問題はしっかり解けるようにしておくことが理論化学では特に大切です。
なぜなら、問題演習でさらに高次のパターン化をしていく必要があるためです。
これについては問題演習の章で解説していきましょう。
問題演習
理論の問題演習でやってほしいことは以下の2つです。
1. インプットした知識をもとに目の前の問題について考える。
2. 新たにより高次のパターン化をして知識としてインプットする。
1つ目に関しては、典型問題に対して今あるパターンで高速処理する練習をする。
さらに、今あるパターンでうまく解けなかったときに、原理から考える練習をするという目的があります。
これは実際の入試問題を解くときと似た状況です。
入試本番だと思って全力で解きにかかってください。
2つ目についてですが、まずは高次のパターン化とは何かについて話します。
それは、教科書を読んだり授業を受けたりしただけではできないような、問題演習をして初めて出会ったパターンを新たに自分のパターンの体系に組み込むことです。
まだ分かりにくいと思うので例を出します。
濃硫酸を水で薄めて100mLにします。濃硫酸が40mLあるとき水は何mLあればよいですか? (これは例で、この条件だけではこの問題は解けないので、実際に解かなくてOKです。)
100-40=60(mL)!
おそらく最初は多くの人がこのように誤答してしまいます。
結論、薄める前後で体積は足し算にはならないんですよね。(原理はこの記事のテーマと逸れるので割愛)
ただ、これで間違える人が多発するので、多くの基本的な問題 (教科書の例題など) では単純な足し算にしていいよという注がついているわけです。(たまに、つけていない問題もありますが、正直それで体積を単純に足し算していたら誤答ということになります)
正しくは薄める前後でH2SO4 の質量は変わらないという条件に注目して立式していきます。(同様の理由で詳細は割愛)
この問題演習を踏まえて得られるパターンは以下のようになります。
これを新たなパターンとしてインプットしていくわけです。
これをすることで、実際の入試で溶液を「薄める」や「混ぜる」と見たら、「はい、質量保存で立式して解決!」と高速処理できるわけです。
そして、ここで時間を節約することで他の難問に割く時間を捻出していきます。
これをしていない受験生は、「間違える→点数が伸びない」 or 「えっと混合したら結合が変化するから . . . などと原理原則から考える=時間の消費→難問に割く時間がなくなる」となってしまいます。
冒頭で述べたように、難問を解いたり化学で高得点を取ったりするにはパターン問題が重要なわけです。
これが理論化学の攻略法です。
このような問題演習を通して自分のなかのパターンを増やしていくことで、必然的に化学の点数が上がっていきます。
まとめ
分野に分けて細かく解説していきましたが、化学の勉強法の基本は「インプット」→「パターン化」です。
これを念頭に置きながら、化学の勉強に取り組み化学を得意科目にしていってください!